歯周病と糖尿病・動脈硬化・心筋梗塞の関係

『Floss or Die』の全米キャンペーン以来、「歯周病菌が原因で死に至る！」というその衝撃的な内容は、全世界で注目されている話題のひとつではないでしょうか？

現在、「歯周病は糖尿病の６番目の合併症」と言われています。日本では成人の１０人に１人が糖尿病です。一方、歯周病は軽度のものまで含めると国民の７割がかかっていると言われるぐらい蔓延しています。では、どうして歯周病が悪化すると、糖尿病・動脈硬化→心筋梗塞→死に至る危険性がアップするのでしょうか？

歯周病が悪化し炎症が激しくなると、歯周ポケット内の粘膜上皮は大きく傷つき、潰瘍に近い状態になります。潰瘍とは、上皮（最前線の防御ライン）がズタズタに破られ、歯周病菌自身やその毒素（LPS）が私たちの体に侵入し始めている非常に危険な状況です。重度の歯周病の場合、この潰瘍の総面積は手のひらサイズもあるといわれています。

これほど戦場（潰瘍）が拡大すると、大量のガレキ（炎症物質）が発生し、全身に影響がおよびます。当然、糖尿病も悪化してしまいます。さらに、糖尿病の患者さんの場合は、免疫細胞（防衛軍）の機能が低下していますから、ますます、歯周病菌が侵入しやすくなっています。当然、歯周病も悪化します。このように、歯周病と糖尿病には負の連鎖がみられるのです。

では、体に侵入した歯周病菌は他にどのような悪さをするのでしょうか？
歯周病菌は血流に乗り血管内を移動します。「動脈硬化」を起こした病巣から歯周病菌が見つかっていますので、動脈硬化の悪化→心筋梗塞に関係しているのではないかと考えられています。

一方、歯周病を治療することで、糖尿病が改善されること（正の連鎖）も報告されています。
やはり、諦めずに歯周病の予防と治療を続けていただくのが大切だと思います。

歯周病は単なるお口の病気ではなく、肥満や糖尿病、さらに動脈硬化・心筋梗塞のようなさまざまな生活習慣病の隠れた黒幕です。
お口の健康は、生活の質（QOL）を高めることにつながります。
お口の健康に目を向けて、充実した生活を送っていただければ幸いです。

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