医療者/歯科医としての良心と哲学
自費治療が、高く売るための『方便』になっている医院もある
今の日本の保険診療のシステムでは、残念ながら、体に適合しやすい良い素材を使った治療ができません。ですから私は、完全自由診療の歯科医院で、セラミックをはじめとする自費の素材を使って治療をしています。自費治療というのは、歯医者さんが自由に値段をつけて良い治療のことです。セラミックのつめ物、かぶせ物の料金は基本的に、材料費と技工代に医院の利益を上乗せした値段です。材料費も技工代も、日本全国どこもそれほど変わらないのですが、セラミックを必要以上に高額で販売している医院を見かけます。保険では利益が出ないから、自費治療を高額にして医院の売上を伸ばそうと必死になっている医院も稀にあるのです。
患者さんが悪くなった方が、歯医者は儲かる
中には、虫歯をわざと残して詰めてしまう歯医者さんもいます。3年後くらいにはつめ物の下で虫歯が広がって、患者さんが来院して治療を受けてくれるからです。わざとじゃないとしても、治療がいい加減だと痛みがなかなか引かないこともあります。来院して治療を受けてくれればそれだけ、歯医者が儲かる仕組みになっています。それを利用している人も、残念ながら存在するのです。
勤務医時代、院長に言われた「虫歯じゃない所も大きく削っておいてね!」
私が行なっているのはMI治療という、虫歯になっているところだけを最小限削る治療法ですが、保険の場合は、小さく削るよりも大きく削った方が儲かるように点数が定められています。小さく的確に虫歯だけを削るのには技術も要りますし時間もかかります。その上点数が低いのでは割に合わないので、保険治療をしている先生は、どうしても大きく削る方に流されてしまいやすいのだと思います。
良い治療・良い素材は、保険治療のメニューにない
日本の保険で認められている歯科治療では、銀歯は昭和40年代に定められた金属が今も使用されています。保険の銀歯は、高度成長期で虫歯にかかる人が急激に増えた時代に、「安く簡単に手に入る材料を」ということで使用され始めました。「体に良い金属とは言い切れないので、状況が落ち着いたら保険のつめ物、かぶせ物の金属を見直すこと」とされていましたが、一度も見直されることのないまま40年以上が経過しています。
体に適合するセラミックなどの良質な素材は保険では認められておらず、良い素材を使ってよい治療をしてあげたくても、それらは保険治療のメニューにはないのです。
●保険銀歯の弊害
×保険では、大きく削って大きな銀歯になります。
×銀歯の接着剤が溶けてその隙間からまた虫歯が再発するリスクがあります。
×保険の銀歯はかたすぎて対合歯を傷めることになります。
×金属が入っていると、口の中でガルバニー電流が発生し、それが自律神経に影響して
体に不具合を起こすリスクが指摘されています。
×高温多湿なお口の中で、金属が酸化して溶け出し、体内にたまってしまうリスクがあります。
×保険銀歯が金属アレルギーの一因になり、メタルフリーにすることでそのリスクをなくせます。
×保険金属の土台(メタルコア)で歯が折れてしまう。これを歯根破折と言いますが、当院に
来られる方にもよく見られます。
(私は必ずファイバーコアという土台を使っています【ファイバーコア…20,000円~】)
このようなデメリットが多く、金属アレルギーの原因となる金属を含んでいる保険の銀歯は、欧米では敬遠され、使用されることはまずありません。
当院が、治療費の多くを他院よりも抑えている理由
他の医院に比べて、当院では自費治療の値段を抑えています。大阪の歯科医院のホームページを見れば、セラミックの平均価格も分かります。しかし私は、医院の利益を必要以上に上乗せしてまで、患者さんに負担を強いるような治療はしたくありません。
普通の歯医者さんであればインレーやクラウン、場合によっては抜歯になってしまうような大きさのムシ歯も、当院ではダイレクトボンディングで治療できることが多いため、トータルでの治療費は安価に抑えられると思います。(その上、ダイレクトボンディングは歯を削る量を最小限で抑えられるので、歯のためにも良いです。)
できるだけ多くの方に良さを知っていただくために
セラミックは体に適合する良い素材です。保険でセラミックを選択できない以上、適正な価格で患者さんが選択しやすくすることも、医療者として当然の配慮と言えるのではないでしょうか。当院は、永く、患者さまに良質な治療を提供し続けられる適正価格として、今の価格でがんばっていきたいと思っています。
「米村幸城 歯科医の哲学」
梅新デンタルクリニック院長 米村幸城が、私自身の想いや考えを何かの形にして表現したい、という想いから生まれました。患者様へのメッセージサイトです。ぜひご覧ください。